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●【TBSニュース】2012年3月22日
「尊厳死法案」関係団体から賛否の声

私たちの死のあり方を変えることになるかもしれない法案“尊厳死法案”の原案を国会の超党派の議員連盟が22日、提示しました。患者が書面などで希望した場合、延命措置を始めなくても医師の刑事責任を問わないとする内容で、関係団体から賛否の声が上がっています。

議員連盟の総会で示された“尊厳死法案”の原案。回復の可能性がなく死期が間近な状態を「終末期」と定義し、患者から書面などで希望があった場合、「医師は延命措置を開始しなくてもよい」としています。現状、こうした行為は医師が刑事責任などを問われる可能性もありますが、医師の免責が明文化されました。会場にはこの法案に懸念を示す人工呼吸器を着けた患者たちの姿がありました。

東京・江東区で療養生活を送るALS患者・岡部宏生さん(54)。意識を保ちながら徐々に全身の筋肉が衰え体が動かなくなる原因不明の難病です。介護ヘ
ルパーは岡部さんの目の動きで言葉を読み取っていきます。

Q.岡部さんにとって人工呼吸器とは?
「私にとってはもちろん生きるための道具」(ALS患者 岡部宏生さん)

ALSは人工呼吸器を着ければ寿命まで生きられますが、人工呼吸器を着けるか着けないかの選択が生死の分かれ目となります。

「私も真剣に死ぬことを考えていました。今も葛藤はあります」(ALS患者岡部宏生さん)

人工呼吸器を着ければたんの吸引など24時間の介護が必要となり、家族の負担を考え人工呼吸器を着けない選択をする患者が多くいます。社会の介護体制が不十分なまま尊厳死が合法化されれば、患者がさらに死を選ばされることにつながるのではないかと岡部さんたちは懸念します。

「家族との関係やケアの体制なども深く関係します。悩みは深いです」(ALS患者 岡部宏生さん)

一方、尊厳死の法制化を求めている人たちもいます。会員およそ12万5000人の日本尊厳死協会。協会では「延命措置の拒否や取りやめ」などの希望を記した尊厳死の宣言書「リビング・ウイル」の普及活動を行っています。現状でも厚生労働省のガイドラインなどに従えば尊厳死は実施できますが、協会では医師の免責を盛り込んだ法制化が不可欠だと訴えます。

「やはりガイドラインでは法的拘束力は持っていないので、それはきちんと担保してほしい。保証してもらいたい」(日本尊厳死協会 高井正文常任理事)

22日の総会で意見を求められた障がい者団体からは「危機感を持って受け止めている」と尊厳死の法制化自体に強く反対する声が上がりました。

「なぜこのような法律が必要なのか、誰のために必要なのか」(DPI日本会議)

また、法案では現場の医師が直面している課題である延命措置の「中止」や意思のわからない患者への対応については対象とされず、医師の代表である日本医師会からは「法律にする意味があるのか」と疑問が呈されました。

「今日改めて意見を頂いたことを私どもはしっかり受け止めながら、検討すべきところもあるのかなと」(増子輝彦議連会長)

議連では今の国会に法案を提出したい考えですが、調整には難航が予想されます。(22日21:07)

(ALSの岡部さんの写真はこちらのALS在宅生活特集記事をhttp://www.kaigoseido.net/i/als-chiikiseikatsu.htm)


●【キャリアブレイン】2012年03月22日
延命措置の「不開始」で、医師を免責- 超党派議連が法案原案を提示

超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)は22日に総会を開き、15歳以上の終末期患者が、栄養や水分の補給を含む延命措置の「不開始」を希望する場合、医師が措置をしなくても、その法的責任を問わないとする「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」(仮称)の原案を示した。同議連は2005年に発足し、民主、自民、公明など与野党の国会議員112人が参加しているが、原案を出したのは今回が初めて。

法案の原案が示された超党派議連の総会(22日、衆院第二議員会館)  同案は、書面などで患者の意思表示があることを前提に、2人以上の医師が、「行い得るすべての適切な治療を受けた場合でも、回復の可能性がなく、死期が間近」と判定した場合に限り、担当医が延命措置を行わなくても構わないと明記。終末期患者の傷病の治療や疼痛の緩和については、「延命措置」の対象外としたほか、現在行われている延命措置の中止は含まれない。
医師の民事、刑事、行政上の責任は問わないとする一方、延命措置を始めない場合、医師は患者または家族に説明し、理解を得るよう努めるとした。

■日医、日弁連などから慎重論相次ぐ
この日の総会では、日本医師会や患者団体、日弁連などからヒアリングを行ったが、各団体からは同案への反対意見や慎重論が相次いだ。

日医の藤川謙二常任理事は、「(延命措置の)差し控えだけを法律化することが、本当に意味があるのか。中止の問題も含めて、やはり非常に境界が難しい」と指摘。その上で、「終末期で度重なる訴訟が起こるのはとんでもない」との危機感を示し、慎重な議論を求めた。
また、障害者団体「DPI日本会議」の三澤了議長は、「なぜこのような法律が必要なのか。誰のために必要なのか」と反対の考えを強調。日弁連の人権擁護委員会医療部会の平原興部会長も、同案に反対の立場を表明した上で、「意思表示の撤回の方法や、その有無の確認も含め、過去の意思の表示から、いかに現在の本人の意思を判断していくのか」と問題提起した。
一方、日本尊厳死協会の副理事長で内科医の鈴木裕也氏は、「医学の進歩によって、医師主導型の行き過ぎた医療が進んだ」とし、患者のQOLの観点から、制度の必要性を指摘。また、同協会の常任理事で、同じく医師の長尾和宏氏は、「尊厳ある生を支えながらも、あくまで患者さんの意思、基本的人権を尊重したい」と述べた。

同議連では、今国会への法案提出を目指しているが、増子会長は「拙速に法制化する考えは全くない」とし、「それぞれの政党にお持ち帰りいただいて、われわれが出した案をご検討いただいた上で、最終的な取りまとめに入りたい」と述べた。
URL=http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36874.html

●【日経新聞】2012年3月22日
延命治療しない医師免責 議連が法案、終末期患者の意思なら

超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」は22日、終末期の患者が延命措置を望まない場合、延命治療をしない医師の責任免除などを柱とする法案を初めてまとめた。終末期かどうかは2人以上の医師が判断。「延命措置の不開始」の意思表示には書面が必要としている。

議連は各党内の議論を経た上で、今国会で議員立法の提出を目指すが、「尊厳死」を巡っては賛否が割れており、法案提出の行方は不透明だ。

法案は22日の議連総会で「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」として提示された。

「終末期」について「患者が傷病について行いうるすべての適切な治療を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態」と定義。終末期医療の知識や経験のある2人以上の医師の判断が一致した場合を「終末期状態」の患者と規定した。

その上で、延命措置を新たに始めない要件として、患者が延命治療を希望しないことを書面で意思表示している場合と明記。すでに行われている延命措置の中断はできないとしている。

延命措置の対象は人工呼吸器だけでなく、点滴などによる栄養や水分の補給などとした。

「延命措置の不開始」の意思表示は15歳以上とし、臓器移植法とは異なり、家族の判断は含めなかった。こうした患者本人の意思を尊重した場合、医師については民事、刑事、行政上のいずれの責任も問われない。

議連総会には各団体が出席した。日本尊厳死協会が「希望通りの死を迎えられていない患者が多い。法案は延命措置の中止は盛り込まれていないが、患者の意思が尊重されている」と賛成を表明。障害者団体「DPI(障害者インターナショナル)日本会議」は「終末期の認識は個々人で異なり、法律で決められない。白紙撤回すべきだ」と強く反発した。


●【東京新聞】2012年3月29日
東京新聞の見開き2面を大きく使った尊厳死法案の特集記事
URL=http://www.kaigoseido.net/o/0329.pdf


●【キャリアブレイン】2012年04月16日
リビング・ウィル、家族の8割「知らない」- 全日病・アンケート調査

全日本病院協会(全日病、西澤寛俊会長)はこのほど、「終末期の対応と理想の看取りに関する実態把握及びガイドライン等のあり方の調査研究」に関する報告書をホームページ上で公表した。終末期の対応と看取りの実態を把握するため、全日病が行ったアンケート調査では、生前に尊厳死の意思表示をする「リビング・ウィル」について、その意味を理解している患者家族は2割に満たず、「意味は知らなかった」「聞いたことがなかった」を合わせて、全体の8割以上が「知らない」と回答していたことが分かった。

 アンケート調査は昨年7月-10月、全国の病院、介護老人福祉施設、グループホームなど計7184施設を対象に実施し、このうち回答があったのは1941施設(回収率27%)。それぞれの職員と患者の家族にも調査票を送付(いずれも各施設5通)し、職員7869件(回収率22%)、家族5215件(同15%)から回答を得た。

 患者の家族を対象にリビング・ウィルの認知度について尋ねたところ、「聞いたことがなかった」との回答が施設の種類別で、いずれも約7割に上り、聞いたことがあっても、その意味を理解していない人が全体の17%だった。一方、各施設にリビング・ウィルの内容の確認方法を聞いた結果(複数回答)、「意向を聞き取り記録する」がいずれの種類の施設でもトップで、訪問看護ステーションが59%、病院44%、介護保険施設35%、グループホーム34%だった。

■慢性期の疾患、家族の方が早く「終末期」と認識
 終末期の認識に関する質問では、主な疾患ががんの場合、家族と施設でほぼ一致していたものの、がん以外の疾病では、家族が「終末期」と感じているケースの約6割について、施設側は「終末期」とは認識していなかった。「終末期だと思わない」との回答では、家族と施設でほとんど変わらなかったことから、慢性期の疾患に関しては、家族の方が早い段階で「終末期」と認識している現状が明らかになった。
 また、患者の家族に対して、患者本人がどこで最期を迎えることを望んでいるか尋ねたところ、いずれの施設も「自宅」が最多だったが、患者が病院や施設に入っている場合、およそ4割が現在の場所を希望していた。
 このほか、各施設の職員に看取りを行う際の問題点を聞いた結果(複数回答)、看取りの経験のない人は「看取りの適切な方法が分からない」が最も多かったのに対し、看取りの経験のある人では「患者本人の意思確認が困難・不十分」との回答がトップだった。

■終末期ガイドライン、ニーズと実態に乖離
 今回の調査では、終末期のガイドラインの必要性を感じている施設が、いずれの種類も過半数を占めたが、実際に利用しているガイドラインのない施設が全体の約6割に上り、現場のニーズと実態との間で乖離が見られた。

URL=http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37035.html

●【TBSニュース】2012年4月27日
「尊厳死法案」反対、議員向け勉強会
超党派の国会議員で検討されている「尊厳死法案」をめぐり、障害者や難病患者らが国会議員向けの勉強会を開催し、尊厳死法制化の反対を訴えました。
勉強会は尊厳死の法制化に反対する障害者や難病患者らが主催したもので、法制化を検討している超党派の議員連盟の議員を含む、およそ100人が参加しました。
議員連盟では「患者が書面などで希望すれば、医師は延命措置を開始しなくてもよい」などと、医師の免責を盛り込んだ法案を今の国会に提出することを検討しています。

これに対し、勉強会に出席した患者らからは、「十分な医療や介護を受ける環境が整ってないなかで、尊厳死が法制化されると、死ぬことを迫られるようになる」といった意見が述べられ、出席した専門家や日本弁護士連合会からも「拙速な法制化には反対する」という意見が出されました。


●【共同通信】2012年5月31日
呼吸器取り外しも可能に超党派議連の尊厳死法案

超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議員)は31日、議員立法での国会提出を 準備している尊厳死に関する法案の原案を修正し、免責対象となる医師の行為を、人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命治療の中止」に拡大する方針 を決めた。

これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。がんなどで終末期にある患者本人が尊厳死を望む意思を表示している場合で、2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。

議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。


●【産経ニュース】2012年5月31日
呼吸器取り外しも可能に超党派議連の尊厳死法案
超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長・増子輝彦民主党参院議員)は31日、議員立法での国会提出を準備している尊厳死に関する法案の原案を修正し、免責対象となる医師の行為を、人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命治療の中止」に拡大する方針を決めた。

これまでは「新たな延命治療の不開始」に限っていた。がんなどで終末期にある患者本人が尊厳死を望む意思を表示している場合で、2人以上の医師の判断を条件とする点は変わらない。

議連は6月6日に総会を開き、修正案を公表する予定。障害者団体や医療関係者、弁護士らの意見を聞いてさらに検討を続け、今国会か次期臨時国会での法案提出を目指す。ただ生命倫理にかかわるため、各党には反対の議員も多く、提出や成立の見通しは不透明だ。
URL=http://sankei.jp.msn.com/life/news/120531/trd12053122420024-n1.htm


●【キャリアブレイン】2012年6月6日
終末期の延命措置、「中止」も免責対象に- 超党派議連が新たな原案

超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)は6日に総会を開き、15歳以上の終末期の患者に対する延命措置について、経管栄養や人工呼吸器の取り外しなど、現在行われている措置を中止した場合も、医師の免責の対象とする法案の新たな原案を公表した。前回の案では、新たに延命措置を実施しないとする「不開始」が対象だったが、その範囲を拡大した形だ。

総会で締めのあいさつをする増子会長=写真中央=(6日、衆院第一議員会館) 執行部はこの日、前回の案を一部修正した「第1案」と、延命措置の中止まで踏み込んだ「第2案」を提示。医師が免責の対象となる行為を実施する場合、書面などでの患者の意思表示が前提となっているが、前回総会での意見を踏まえ、第1案では、その撤回が常に可能とすることを明記したほか、この法律に基づかない延命措置の不開始や中止を禁じるものではないとの注意事項も加えた。さらに第2案でも、免責の範囲以外は第1案と同様の規定となっている。

尊厳死に関する2つの案について、総会では、日本医師会(日医)と日本弁護士連合会(日弁連)からヒアリングを行った。

日医の羽生田俊副会長は、「不開始だけでは法律が不十分ではないかと申し上げてきたので、法律としての意義が大変進歩した」と、第2案を評価。その一方で、在宅医療の現場など、医師が1人しかいない場合もあることから、延命措置を行わない判断を「2人以上の医師」とした点に配慮する必要があるとしたほか、学会などの終末期に関するガイドラインの活用を盛り込むことを提案した。
一方、日弁連人権擁護委員会の増子孝徳副委員長は、「患者一般の自己決定権に関する法律が必要」と繰り返し強調し、日常の医療から終末期につながるとして、終末期医療だけに特化した法律の制定に反対の立場を示した。

総会終了後、増子会長は記者団に対し、「これでなければならないということは、今のところ決めていない」と述べ、2案を軸に、引き続き協議する考えを強調。法案の提出時期については、今国会の会期が延長されない場合、「次期臨時国会も含めて、今の(議連の)議員の任期中にできれば出したい」と語った。次回は障害者団体や日本尊厳死協会からヒアリングを行う予定。【敦賀陽平】
URL=http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37414.html


●【日経新聞】2012年6月7日
延命中止で免責検討

尊厳死巡り議連が法案死法制化を考える議員連盟」は7日までに、終末期の患者が延命措置を望まない場合は、人工呼吸器の取り外しなど「延命措置 の中止」をした医師の責任を免除する法案を公表した。3月に公表した、新たな延命措置を始めない「不開始」を免責するとした法案より、範囲を拡大した。今 後、関係団体から2つの案への意見を聞く。

議連は今国会を前提に、議員立法による早期の法案提出を目指している。ただ免責の適用範囲などを巡っては議連内でも意見が割れており、提出の見通しは不透明。

終末期の判定は、2人以上の医師の判断が一致することが必要とした点や、延命措置を望まないことを書面などで意思表示している場合に限り、医師の民事、刑事上の責任は問われないとした条件は変わっていない。

両案とも、一度示した意思の撤回が可能であることや、意思表示が難しい人は対象とならないことを明確にするため「障害者の尊厳を害することのないように留意」との文言を新たに加えた。


●【キャリアブレイン】2012年7月4日
尊厳死法案、「終末期」の定義めぐり激論- 都内で公開討論会

超党派の国会議員連盟が検討している「尊厳死法案」をテーマにした公開討論会(東京弁護士会主催)が3日、東京都内で開かれた。討論会では、同法案で規定されている「終末期」の定義をめぐって、医師や患者会などの間で激しい議論となり、今後の死生観にも影響を与える法制化の難しさが改めて浮き彫りとなった。


尊厳死法案をめぐり、激しい議論が繰り広げられた討論会(3日、東京都内) 同法案では、「行い得る全ての適切な医療上の措置を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間」を終末期と定めており、「医療上の措置」については、栄養補給など生命維持のための行為も対象としている。

この日の討論会には、医師の立場から、法制化を推進する日本尊厳死協会の長尾和宏副理事長と、医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長の2人が参加した。
終末期の定義について長尾副理事長は、「医学的に定義することは困難だが、末期はある。それは死んでからしか分からない。家族と医師との信頼関係が前提となっている」と指摘。医学会のガイドラインは周知されないとして、あくまで法制化が望ましいとの考えを示した。
また、佐々木理事長は、「末期がいつかは、医師と患者さん、ご家族が話し合って決める問題だと思う」とした上で、「尊厳死もリビング・ウィルも、法制化をしなくても既にできている。法律を作ったとしても、患者さんとご家族と医師の三者のインフォームド・コンセントがきちんとできなければ、尊厳死は絶対に実現しない」と述べ、法制化に反対の立場を示した。

一方、患者会や障害者団体からは、同法案への批判が相次いだ。障害者団体「DPI日本会議」の尾上浩二事務局長は、「適切な医療上の措置」や「回復の可能性がない」など、言葉の定義が不明確とし、法制化に反対する考えを強調。また、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者らでつくる「日本ALS協会」の川口有美子理事は、「ALSの患者が呼吸器麻痺になった段階で、必ず呼吸器を着けることにつながらないか」と指摘。ALS患者の7割が人工呼吸器を着けずに亡くなる現状があることなどから、ALSを「終末期」の対象外とするよう求めた。
長尾副理事長は、「障害を持っている方の人工呼吸器も胃ろうも福祉用具だ」とし、人工呼吸器の装着を選択したALS患者は「終末期」には当てはまらないとの認識を示した上で、リビング・ウィルの効力を法的に担保する必要があるとの考えを強調した。

議連では現在、15歳以上の終末期の患者に対する延命措置について、経管栄養や人工呼吸器の装着など、新たに延命措置を実施しないとする「不開始」を対象とした「第1案」と、現在行われている措置の「中止」も含めた「第2案」を検討。いずれも、書面での患者の意思表示などを前提に、医師の免責規定が盛り込まれている。【敦賀陽平】
URL=http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37601.html


●【キャリアブレイン】2012年7月12日
尊厳死法案、「仕切り直し、一から議論を」- 障害者団体、終末期の定義を問題視

超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)は12日、検討を進めている尊厳死法案について、障害者団体からヒアリングを行った。この中で、「DPI日本会議」の尾上浩二事務局長は、「終末期の定義が非常に不鮮明なところに根本的な問題がある」と指摘。「仕切り直して、一から改めて医療や福祉を必要とする人たちと議論をして、考えてほしい」などと述べ、法案の撤回を求めた。

また、「人工呼吸器をつけた子の親の会『バクバクの会』」の大塚孝司会長も、「わたしたちの子どもはかなり重篤な状態で生まれてきたが、30歳近くになっても人工呼吸器をつけて暮らしている。終末期を定義できないことは、わたしたちの子どもが証明している」と述べた上で、「尊厳死の法制化には強く反対する」と強調した。

■終末期、「2人の医師による判断はあり得る」

同議連では現在、終末期の患者に対する延命措置を新たに実施しない「不開始」を医師の免責の対象とする第1案と、延命措置の中止も対象とする第2案の2つの案について検討を進めている。
両案では、終末期を「患者が、傷病について行い得る全ての適切な医療上の措置を受けた場合であっても、回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態にある期間」と定義。また、終末期と判定するのは、必要な知識と経験を持つ2人以上の医師が一般に認められている医学的知見に基づいて判断し、一致した場合としている。

これについて、尾上事務局長は「『死期が間近』と規定しているが、どのような状態を指すのか」などと疑問を投げ掛けた。また、6日に東京都内で開かれた尊厳死法案をテーマにした公開討論会で、日本尊厳死協会の長尾和宏副理事長が、終末期を定義することは困難との見方を示したことを引き合いに出し、「確実な判定は可能と考えているのか」とただした。
これに対し、長尾副理事長は改めて「終末期を定義するのは困難」としながらも、「2人の医師による判断は非常に重く、この方法は十分あり得ることだと思う」と述べた。【津川一馬】
URL=http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37662.html


●【キャリアブレイン】2012年7月31日
尊厳死法案、今国会提出に向け党内手続きへ

超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長=増子輝彦・民主党参院議員)は31日の総会で、検討を進めてきた尊厳死法案の内容を固め、今国会への提出に向けて各党で党内手続きを進めることを決めた。今後は、9月初旬までに党内手続きを終え、再度総会を開いた上で、9月8日の会期末までの提出を目指す。

議連ではこれまでに、「患者が、傷病について行い得るすべての適切な医療上の措置を受けても、回復の可能性がなく、死期が間近」と2人以上の医師が判断した場合、担当医がその患者に延命措置を新たに実施しない「不開始」を免責の対象とした第1案と、延命措置を中止した場合も免責とする第2案の2つの案をまとめている。
同議連はこれら2つの案を議員立法として提出する方針で、採決の際には、党議拘束は掛けないとしている。【津川一馬】
URL=http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37789.html


●【東京新聞】2012年7月31日
延命措置の中止 免責に 尊厳死議連新法案

超党派の国会議員でつくる「尊厳死法制化を考える議員連盟」(増子輝彦会長)は、終末期患者が延命措置を望まない場合、医師が人工呼吸器の取り外しなど「現に行っている延命措置を中止」しても、法的責任を免責される法案を新たにまとめた。既にまとめている法案とともに三十一日の総会で正式決定し、議員立法で今国会への提出を目指す。

議連は今年三月、栄養補給や人工呼吸器装着など延命措置を医師がしなくても、法的責任を免責される法案をまとめた。しかし、医療現場から「患者と家族が尊厳死を望んでも(既に延命措置を始めているケースで)中止できないなら意味がない」との意見が相次ぎ、より踏み込んだ内容の法案もまとめた。
議連は、二○○九年に四案を並べて審議した改正臓器移植法のように二法案とも国会に提出し、各議員の判断で投票してもらう考えだ。
二法案では、適切に治療しても患者が回復する可能性がなく、死期が間近と判定された状態を「終末期」と定義。十五歳以上の患者が延命措置を望まないと書面で示し、二人以上の医師が終末期と判定した場合、刑事、民事、行政上の法的責任を問われないと明記した。
本人の意思が確認できない場合は「法律の適用外」とした。
議連は民主、自民、公明など与野党の国会議員約百十人で構成。二○○五年に発足し、尊厳死について議論してきた。
終末期の医療をめぐって、厚生労働省は○七年に初の指針を策定したが、法的責任を免責される延命中止基準を明確にしなかった。医療現場からは患者と家族が尊厳死を望んでも、刑事責任を追及される可能性があるとして、延命措置をするしかないとの指摘が出ている。(城島建治)
URL=http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012073102000091.html


●【FNNニュース】2012年7月31日
尊厳死議連、延命措置中止でも免責との新法案まとめる

超党派の国会議員による「尊厳死法制化を考える議員連盟」は31日、総会を開き、終末期を迎えた患者が延命措置を望まない場合に、医師が人工呼吸器を取り外すなど、延命措置を中止しても法的責任を問われないとする法案を新たにまとめた。
議員連盟はこれまでに終末期患者の意思の尊重に関する法案として、患者が望まない場合に、医師が延命措置を行わないことについて、法的責任を問わない法案をまとめていた。
それに加えて、医療現場や尊厳死協会などの意見をふまえ、今回新たに、医師が「現に行われている延命措置を中止する」ことについても、法的責任を問わないとするこれまでよりも踏み込んだ内容の法案をまとめた。
31日の総会では、この新たな法案を了承し、今後、各党がこの2つの法案について党内で協議することを確認した。
議連は、民主、自民、公明など与野党の衆参両院の120人の議員で構成され、今の国会での法案成立を目指す。
URL=http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00228581.html


●【47NEWS】2012年8月7日
尊厳死、法制化の動き延命中止でも医師免責「命切り捨て」と危惧も

死期が近い患者が自らの意思で延命措置を望まず、自然な最期を迎える「尊厳死」。超党派の国会議員連盟(議連)が法制化の準備を進めている。議連の法案は、延命を中止しても医師の刑事責任などを問わない内容だ。歓迎の声もあるが、障害者団体などは「命の切り捨てにつながりかねない」と危惧している。

▽ジレンマ
「できれば議員立法で今国会に法案を提出したい」。7月12日、国会内で開かれた「尊厳死法制化を考える議員連盟」の集会で、増子輝彦会長(民主党参院議員)はこう繰り返した。会場には車いすに乗った障害者や人工呼吸器を付けた難病患者の姿も。支援団体の代表らが「終末期や障害者の定義があいまいだ」「命の軽視が始まる」と慎重な議論を求めた。
医療技術の高度化に伴い、死期が迫っても、呼吸器やペースメーカーなどの生命維持装置に頼れば、呼吸や血液循環を維持することは容易になった。一方で「自分の最期は自分で決め、人間としての尊厳を保ちたい」と願う人も少なくない。
オランダや米・オレゴン州などでは薬物を使った「安楽死」まで認めた法律もあるが、日本では尊厳死の手続きなどを明確に定めた国の指針や法律はない。患者の希望を尊重したい、しかし人工呼吸器を取り外すなどした場合、医師が刑事責任を問われかねない―。議連はこうしたジレンマを打開しようと、2005年から法制化を検討してきた。

▽中止と不開始
法案は終末期を「適切な医療でも回復の可能性がなく、死期が間近と判定された状態」と定義。患者本人が書面などで尊厳死を望む意思を示している場合に限定し、2人以上の医師による判定を条件とした。尊厳死に関与した医師は「刑事、民事、行政上の責任を問われない」とも明記した。
具体的な医師の行為については二つの案がある。議連は当初、人工呼吸器装着や栄養補給などの延命措置を新たに開始しない、とした法案(第1案)を起草した。
しかし「現に行われている延命措置の中止にまで踏み込まなければ法制化の意味がない」との意見も根強く、人工呼吸器取り外しなど、より積極的な延命中止を規定した第2案も取りまとめた。
議連は、09年に4案を並べて審議した改正臓器移植法のように2案とも国会に提出し、各議員の判断で投票してもらう考えだ。

▽尊厳ある生を
法制化を強く求めてきた「日本尊厳死協会 」の会員は現在、12万人を超えた。会員は延命拒否の意思を明記した「尊厳死の宣言書」に署名し、いざという時は医師に提示する。長尾和宏副理事長は「現状では患者の意思が明確でも希望がかなえられないことが多い。法律ができれば患者も医師も安心できる」と話す。
一方、人の生死を法律で規定することには反発もある。人工呼吸器が不可欠な子どもたちの親でつくる「バクバクの会 」の大塚孝司会長(63)は「命の自己決定という聞こえの良い言葉の裏で、社会的立場の弱い人々が切り捨てられ、生きにくい世の中になっていくのではないか」と懸念する。
議連もこうした声に配慮、障害などで意思表示が難しい患者は除外し「障害者の尊厳を害することのないよう留意しなければならない」との条文を法案に設けた。
全国88の障害者団体を束ねる「DPI(障害者インターナショナル)日本会議 」の尾上浩二事務局長(52)は「尊厳死の在り方以前に、尊厳ある生をいかに保障するか。立法府で話し合うべきことは、むしろそちらではないか」と訴えている。(共同通信 土井裕美子)
URL=http://www.47news.jp/feature/medical/2012/08/post-726.html


●<参考>20時間の介護認める=ALS訴訟、初の仮義務付け-和歌山地裁
時事2011/09/27-19:37
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011092700800

24時間介護が必要なのに公的な介護時間に上限があるのは違法として、和歌山市に住む筋萎縮性側索硬化症(ALS)の70代の男性患者2人が、市を相手に24時間介護を求めた訴訟で、和歌山地裁(高橋善久裁判長)は27日までに、患者1人が1日20時間の介護サービスを受けられるよう仮の義務付け命令を出した。原告弁護団によると、障害者自立支援法をめぐる裁判で、仮の義務付け命令が出たのは初めて。決定は26日付。もう一人の原告患者は今月8日に亡くなったため、決定が間に合わなかった。決定は、原告患者にはほぼ常時介護サービスが必要と認めた上で、妻の健康状態や経済状況を考慮。1日20時間分の介護サービスについて公的給付が必要と判断した。その上で「緊急の必要性がある」として市に対し、介護保険法で賄われている3.5時間分に加え、障害者自立支援法に基づき1日16.5時間の介護給付費の支給を仮に義務付けた。

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